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台湾の戸政事務所が発行する「戸籍謄本」「除籍謄本」「印鑑証明書」は、不動産登記手続で使用することができます。
具体的には、以下の場面でよく使うため、依頼者様や不動産仲介業者様に準備をお願いすることがあります;
①「所有権移転」登記の申請で次に所有者になる人の「住所証明情報」
(売買の買主、離婚で財産分与を受ける人、時効で取得した人など)
②相続に関する「登記原因証明情報」、遺産分割協議書に押印した印鑑についての「印鑑証明書」
③権利を失い登記名義を次の人に譲る人の「印鑑証明書」
(売買の売主、協議離婚で財産分与をした人など)
④所有権等の権利の登記名義人が転居した場合の登記名義人住所変更登記の「登記原因証明情報」
また、商業・法人登記においても、以下の場面で、少なくとも東京では、使用できます;
⑤法人代表者が法務局に印鑑を届出る際の個人の実印に関する「印鑑証明書」
⑥発起人が公証人役場で定款認証を依頼する際の個人の「印鑑証明書」
住所や印鑑の型を証明できる公的書類の様式や発行する機関は国によって異なります。
そのため、たとえそれが真正な公的文書であっても、全国のすべての登記官が、すべての国それぞれの様式の「住民票的なもの(まったく異なる様式のものもあります)」「印鑑証明書的なもの(そもそも印鑑登録制度がない国・地域が大多数ではあります)」が本物かどうかを判断するのは困難です。
そこで、登記先例により、当事者の国籍国の公証人の認証がある住所や署名(サイン)に関する宣誓供述書であれば、住所証明情報、印鑑証明書、サイン証明書として受理する扱いがされてきました。
更に、台湾の人が登記申請人となる場合、また別の問題がありました。
日本は台湾(中華民国)を国家としては承認していないため、その他の国々の公正証書と同様には扱えない、とされてきました。
かつては(今でも一部の法務局では)、台湾の戸政事務所で戸籍謄本を取得した後、
①台湾地方裁判所(法院)の公証人の認証
②台湾外交部の認証
③日本にある台北駐日経済文化代表処の奥書
という3段階の手間をかけ、ようやく日本の不動産登記手続で使用できる公的書類になる扱いでした。認証のための費用も時間もかかります。
相続登記で、台湾人が被相続人の場合、台湾の戸籍謄本・除籍謄本だけで20枚を超えるケースも珍しくなく、これらをすべて3回認証する費用だけでもけっこうな額です。
これが台湾以外の国の人であれば公証人の認証1回だけでよいわけで、台湾の関係者は不平等な取り扱いを受けていました。
近年、台湾の投資家の方々が投資用不動産をたくさん購入する動きが続いている影響もあるでしょうか、
ある司法書士の先生が法務局と粘り強く相談した結果が実り、
平成27年3月24日からは、台湾の戸籍謄本や印鑑証明書につき、上記3つの認証がなくても、原則として登記申請を受理されることとなりました。
なお、訳文の添付は必要です。
ただし、これはあくまでも東京法務局管内の登記官に向けて取扱変更の事務連絡があっただけです。
全国の法務局で統一的な運用変更が行われたわけではありません。
他の道府県の(地方)法務局でも、東京と同じ取り扱いが波及していることが多いと思われます。
少なくとも、大阪、福岡、沖縄、神奈川、北海道(札幌管内)などでは、
東京と同じく、台湾の「戸籍謄本」「除籍謄本」「印鑑証明書」は、3つの認証がなくても、
訳文さえつければ、登記に必要な添付情報として認められます。
しかし、平成29年6月時点で、広島県の登記所で、従来通りの三段階認証をした書面を提出しないと登記を実行できない、と担当登記官から指摘された例が、現地の若手司法書士先生からご報告いただきました。
台湾人の「戸籍謄本」「除籍謄本」「印鑑証明書」を添付した登記申請を、未経験の府県で出す場合は、念のため管轄の庁舎に事前確認をするべき場合もあります。
弊所では、「うちと東京は別です。当庁は従来通り3段階の認証がないと受理しません。」と言われる可能性を考慮し、しかるべき理論構成をして書面で照会するようにしています。
日本で暮らしている台湾籍の方や、相続登記で被相続人が台湾籍の場合など、
このページの上記「1 台湾の戸籍謄本・印鑑証明書が必要となる主な事例」のようなとき、台湾の戸籍謄本等が必要です。
しかし、産まれも育ちも日本で中国語を話せない方、
台湾の戸政事務所での書類の取得方法がまったくわからない方、
お仕事の都合もありそのためにわざわざ台湾まで行けない方もいらっしゃいます。
そこで、弊所と連携している台湾の地政士(不動産登記の専門家)の先生に代理で取得をお願いすることもできます。
詳しくは、こちらにて代理取得の概要を書いています。
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