〒104-0045 東京都中央区築地四丁目1番1号
離婚に際し夫婦が築いた財産の精算として行われる「財産分与」は、金銭のほか、自宅の土地・建物のような不動産も対象になることがあります。
仮に、離婚前は夫名義で、財産分与として不動産の所有権を妻に移転する「合意」がされたとします(協議離婚の場合)。
この場合、
@役所に「離婚届を提出した時点」 又は
A離婚夫婦間で「財産分与の合意をした時点」
のうち、遅い方の時点で権利が移転します。
しかし、「権利が移転する」のは、神様の目から見た話です。
権利を取得した他方配偶者としては、「財産分与を原因とする所有権移転登記手続」を申請し、無事に登記名義を取得して初めて、権利を確保できます。
それまでは、元配偶者が誰かに売ってしまったり(二重譲渡)、これを担保に銀行からお金を借りたりしてしまうと、自己の権利を買主や銀行に主張するのは、困難になることが多いです(対抗問題)。
よって、下記3の注意点をよく考慮のうえ、速やかに所有権移転登記を申請しておくべきでしょう。
その際、協議離婚で財産分与をする場合は、現在の所有権登記名義人の協力(実印の押印、印鑑証明書、権利証の提供、司法書士による本人確認手続)が必要となります。
もし、離婚届を提出し、財産分与も合意したのに、不動産登記手続に協力してくれない場合は、登記手続を求める裁判手続(調停、審判)が必要となります。
離婚が成立し、財産分与として不動産の所有権を移転することも確定したとしても、
実際に所有権移転登記を申請するにあたっては、いくつか気を付けるべきことがあります。
住宅ローンや事業融資の借入などがまだあり、抵当権(根抵当権)の登記が残っているときは、所有権移転登記申請前に、銀行など金融機関に相談をするべきです。
多くのローン条項では、債務が残っている間は所有権を他の人に移転することを禁じていたり、金融機関の承諾を要するとされています。もし、銀行に何の相談もせず移転登記をすると、取得した人が不利益を受けるおそれがあります。
住宅ローンなどが残っているケースでの財産分与は、財産分与で取得する人の収入等資産要件が審査され、銀行の審査が通れば、所有権移転登記と債務者の変更登記を申請すべき場合が多いと思われます。
国税庁の情報によると、「財産分与」とはいえ当該夫婦が築いた財産全体から見て、その不動産の価値があまりにも多くの割合を占めているときは、贈与があったものとして財産分与を「受けた側」に贈与税が課税される場合があります。
個別の案件で贈与税が発生するか否かの境目がどのあたりかにつきましては、税理士の判断が必要です。この点につきご心配な方は、税理士の先生にご相談の上、弊所へ所有権移転登記申請をご依頼されるのがよいと思います。
また、国税庁ホームページの情報も、参考までにご紹介します(平成29年6月25日閲覧)。
タックスアンサーNO.4414離婚して財産をもらったとき
国税庁の情報によると、財産分与を「する」現登記名義人の方に、譲渡所得税が発生することがあります。また、財産分与を「受けた側」が、その後、取得時の市場価格以上の値段でその不動産を売却した場合は、別途譲渡所得税がかかる場合があります。
個別の案件で譲渡所得税が発生するか否かにつきましては、税理士の判断が必要です。この点につきご不安な方は、税理士の先生にご相談の上、弊所へ所有権移転登記申請をご依頼されるのがよいと思います。
また、国税庁ホームページの情報も、参考までにご紹介します(平成29年6月25日閲覧)。
タックスアンサーNo.3114離婚して土地建物などを渡したとき
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